貸借対照表はこうやって読みこなす!


−−−決算書を読むのは簡単です−−−


「決算書が読めるようになりたい!」そうお考えの方は多いのではないでしょうか。

書店に行けば、決算書の読み方を教えてくれる本がたくさん見つかります。
毎年その数は増えていくようです。
わたし自身も決算書の読み方の本を1冊出版していますが、やはり紙面で説明するのは難しいものです。
結局は読めるようにならずに諦めてしまう人が多いようです。

「書籍だけじゃ無理そうだ」と考えた人はセミナーに参加することになります。

「決算書の読み方」と題して行われるセミナーに参加して学びますので、ここで決算書の読み方は身につきます。
最近はDVDにして販売しているところもありますので、決算書の読み方をマスターしたいのであればこれで十分です。
「いや、その時はわかった気になるんだけど、実際に会社でやってみるとやっぱりわからないよ」
ここまで学んだ人の中でも、実はかなりの割合でこのような方がいらっしゃるようです。
なぜこのようなことになるのでしょうか?
実はこの方法で学べる決算書の読み方は、他の企業の業績判断に使うための読み方です。
つまり簡単に言うと投資判断に利用するための決算書の読み方なのです。


−−−実は「決算書の読み方」は2通りあります−−−

一口に「決算書の読み方」と言っても、大きく分けて2通りの方法があります。
一つが先に挙げた他の企業の業績判断に使うための読み方
もう一つは自社の経営内容の判断に用いるための読み方なのです。

自社の経営内容の判断に用いるための読み方を身につけたいと考える人は、このように考えます。
「書籍やセミナーではどうしても限界がある。やはり原理原則から学ぶ必要がありそうだ」
現代の日本で会計を学ぼうと思えば、日商簿記検定試験講座ぐらいしかありません。
そこで経営者や管理職になろうとする人たちは、こぞって日商簿記検定3級〜2級あたりを学ぶことになります。
また人によっては大学の経営学部に編入したりMBA(経営学修士)コースを受講したりするようです。

このようにして会計を学ぶことになりますが、それでは彼らは決算書が読めるようになるのでしょうか。
彼らは自社の経営内容の判断に用いるために決算書を用いる事になりますが、もし本当に読みこなせているのならば、彼らの会社は倒産しないはずです。
もちろん倒産には様々な要因がありますが、すくなくとも財務的な問題で倒産することは無いはず。
それでは現実はどうでしょうか。
現代の日本では、起業して10年後に生き残っている企業の割合はわずか6.7%だそうです。
MBAを取得しても倒産してしまうのはなぜなのでしょうか。


−−−「決算書を読む」とはどういうことなのでしょう−−−

ここで決算書というものを分解してみましょう。
決算書の本当の名前は財務諸表と言います。
財務諸表には貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などが含まれます。
このうち損益計算書はまだ比較的理解しやすい書類です。
売上から費用を差し引いて利益を出すという構造が分かりやすいからです。
難しいのが貸借対照表です。
これは資産と負債・純資産を対比させて作成されます。
問題はこの貸借対照表からは何が分かるかということ。
実は貸借対照表だけでは当期純利益を計算することが出来ません。
過年度からの蓄積利益は計算できるので、前年度の貸借対照表と比較してやっと当期純利益が計算できます。

決算書が読めないという人の多くは、この貸借対照表が読めないのです。

それでは「決算書を読む」とりわけ「貸借対照表を読む」とはどういうことなのでしょう。
貸借対照表に書かれてあることが理解できるということなのでしょうか。
その程度でよければ、すぐに出来ます。
勘定科目の意味合いを押さえるだけで読めるようになるからです。
売掛金が8,000万円、買掛金が6,500万円、借入金が2億円・・・。
売掛金や買掛金、借入金という勘定科目の意味合いさえ理解できれば、あっという間に読めるようになります。
しかし、これでは何の役にも立ちません。

経営者にとって「決算書を読む」とは、決算書に書かれてあることを理解し、それを経営に役立たせることが出来ることではないでしょうか。
このレベルで決算書を読みこなそうと思えば、ちょっとハードルがあがります。
勘定科目の意味合いが分かったところで、これは出来ないからです。
実はここにはおもしろい事実があります。
このレベルで決算書を読みこなすためには、勘定科目の意味合いなど必要ないのです。

多くの経営者や管理職の人たちが会計を学ぼうとして日商簿記を勉強するのは、実は全く意味の無いことだったのです。
もちろん知識として持っている方が良いことには違いありませんが、経営に役立たせるための読み方であればそんなものは全く必要ありません。
それどころか、経営のために決算書を読むための会計を学ぶ必要があるのです。


−−−決算書が読めないのには、理由があります−−−

多くの人が決算書を読みこなせないのには、明確な理由があります。
これは決算書というものが膨大な漢字と数字の羅列だからです。
そしてその漢字と数字の中から重要な部分をピックアップすることが出来ないため、読みこなせないのです。
ということは・・・。
そうです、重要な部分をピックアップする方法が分かれば読みこなせるということです。
これには二通りの方法があります。

一つは構成図に作り替える方法
もう一つはそれをグラフ化する方法です。

構成図とは、貸借対照表の数字をすべてパーセンテージに置き換える方法です。
こうすると数字は100が最大となりますので、一気に見やすくなります。

作成方法は簡単です。
貸借対照表の左右の最終値である「資産の部計」と「負債・純資産の部計」をそれぞれ100とした場合に、それぞれの勘定科目残高が何%になるかを計算するだけです。
Excelがあれば一瞬で計算できますね。

グラフ化は、この構成図を棒グラフにする方法です。
棒グラフにすると、なかなか捉えづらかったものや、その企業の特徴などがヴィジュアルで表示されます。

後はこの構成図やグラフから、自分が読み取りたいことをピックアップするだけです。


−−−読み取りたいことをピックアップするためには・・・−−−

ここまで出来れば、貸借対照表を読みこなすステップの90%までは到達できています。
後は貸借対照表からは何が読み取れるのかを学べば完璧ですが、長くなりますので別の機会に譲ることとします。