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2011.11.11

人材教育・No.2育成カテゴリーに「動物行動学から見る人材教育<叱らない叱り方>」を追加しました

-----「叱る・ほめる」とは、一体どういう事なのでしょうか-----

前回のエントリー「動物行動学から見る人材教育<ほめないほめ方>」では、きちんとほめられた相手側が「私はほめられた」と感じなければほめた事にはならないと書きました。
ということは、相手側がほめられたと感じさえすればそれでいいということになります。
この視点で再度「叱る・ほめる」を考えてみましょう。


-----「叱る・ほめる」を「プレッシャー&リリース」といいます-----

馬をトレーニングする時にも、やはり「叱る・ほめる」を使います。
もしかしたら、人に対して使う時よりもずっと繊細に使っているかもしれません。
エントリー「動物行動学から見る人材教育<小さな反抗>」でも書いたとおり、馬はトレーニングの中で 様々な反抗をします。
その理由は「それはやりたくありません」 から始まって「あなたの言うことは聞きません」まで様々です。

もちろんこんな馬のわがままを許していたらトレーニングになりませんので、反抗に対してはきっちりと咎めていきます。
咎めるといったところで馬は人語を解しませんから、馬との対話は物理的な接触、つまり手や脚によるプレッシャーで行うことになります。
例えば、軽く左の手綱を引いたにもかかわらず左に向かなかったならば、次はもっと強い力で左に手綱を引くことになります。
それでもまだ馬が反抗を見せるならば、次は脚を使うこともあります。
脚を使ってもまだ反抗する場合には、手綱を鞭代わりに使うこともあります。
とにかくどんな方法を使ってでも、馬の反抗をとることが必要となるからです。

さて、ここでいうプレッシャーとはどのようなものだとお考えでしょうか。
「咎める」や「プレッシャー」というと、つい厳しいものを想像しがちになりますが、必ずしもそうではありません。
馬の口についたビット(はみ)に繋がった手綱を、小指でほんのわずか握り込むだけで馬には伝わるのです。
また脚を使うと書きましたが、これもふくらはぎに少し力を入れる程度で伝わります。これで伝わらなければ、踵でドンと蹴ることもあります。
馬同士のケンカを見るとわかりますが、かなりの激しさで蹴り合ったりしています。
それを考えると、人が蹴る程度では何の影響力もないでしょう。
これはトレーニングされた馬だからこそ出来ることなのですが、実は非常に重要なポイントなのです。

つまり「馬がプレッシャーだと感じた」らそれはプレッシャーなのです。
ライダーがそれをプレッシャーだと思うかどうかなど、まったく関係ありません。
舌打ちだけで馬が反応したならば、それでもかまわないのです。
そうして馬がライダーのプレッシャーに反応した瞬間に、それまでかけていたプレッシャーを解放します。
これを「リリース」と呼びます。
ライダーはこの「プレッシャーとリリース」を使いながら馬をトレーニングするのです。
馬は人語を解さないから、馬と人との共通言語である「プレッシャーとリリース」を使って「会話」しているのです。・・・続きを読む。