2012.01.26
人材教育・No.2育成カテゴリーに「動物行動学から見る人材教育<相手が理解できる言葉で伝える>」を追加しました
-----自分勝手な言動は相手に混乱しか与えません-----
ライダーが馬と会話を交わすには自分の体を使うしかありません。声・手(指)・脚・体重移動を駆使してライダーは馬と会話をします。
皆さんだったら馬を右方向に進めたい時にはどうするでしょう。
多くの人は右の手綱を引っ張ることでしょう。右に曲がりたいのだから右の手綱を引く。これは理屈が通っているように感じます。しかしウエスタン馬術の世界では全く逆です。右に曲がるときには左の手綱を馬の首に軽く当てるようにします。これがウエスタン馬術での「右に曲がる」を意味する馬との共通言語となります。馬が理解できる言葉で伝えなければ、右に曲がることさえ出来なくなってしまいます。きちんとトレーニングされた馬であれば、手綱を右に引いたら首を右に受けたまままっすぐ進みます。ウエスタン馬術の世界では、手綱を右に引く事は「右に曲がる」事ではなく「首を右に曲げる」事を意味するからです。ここでは「右に曲がりたいのだから右の手綱を引く」という、人の自分勝手な意思や感情は全く意味をなしません。
-----一つの単語には一つの意味しかないとは限りません-----
人も同じです。
上司が部下を指導する際に、人はどのようにして意思を伝えるのでしょう。人と人との間での共通言語は言葉です。人は言葉で意思を伝えることが出来るだけに、逆に大きな過ちを犯してしまいます。外国語であるならばまだしも、同一言語を用いる場合に特に陥りがちな過ちです。その過ちとは自分の用いる言葉の持つ意味がただ一つだけだと考えてしまうことです。
例えば「所得」という言葉は、本来は税法上の専門用語です。税理士などの専門家は別として、これを専門用語通りの意味で用いている人はほとんどいません。本来単一の意味を持つはずの専門用語でさえ別の意味で常用語化していますので、よほど気をつけなければ「右に曲がりたいのだから右の手綱を引く」事になってしまいます。
概念的な言葉を用いる時には特に注意が必要です。
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